お知らせ

🧑‍⚕️意思決定支援の方法と種類📝

みなさん、こんにちは!
本日は久しぶりに少し真面目なトピックをお届けいたします

私たち医療従事者は、皆さんが何らかの危機に陥ったとき、どのようにして医師-患者関係を構築し治療をご提案しているのかお話します。Shared Decision Making(シェアード・ディシジョン・メイキング)という意思決定支援のお話です。

真夜中まで暑い毎日ですから、飲み物でも飲みながら読み進めてください🍹

医療における意思決定方法の種類になります。

パターナリズム(Paternalism)
直訳は父兄主義、のような訳になりますが、患者さんの御意向を聞いて医療を決定するのではなく、医師が専門的知識に基づき医師の責任において判断する、というものです。

インフォームド・コンセント(Informed Consent)
説明と同意、という意味ですが、情報を提供(inform)して、患者さんの自己決定権や自律性を尊重し、治療に対する同意(consent)を得る、というものです。
筆者の生徒時代はこれが良いとされていました。

シェアード・ディシジョン・メイキング(Shared Decision Making)
共有意思決定、という意味ですが、医療者と患者のどちらの意見を採用するかではなく、医療者と患者がともに考えてもっともよいと思えるものを新たに作り出していくプロセスとその結果に対する責任を共有する、というものです。

ワクチン接種、血中酸素濃度のSpO2(えすぴーおーつー)、多くの方が新型コロナウィルス感染症の流行前と比べ医学知識が増えたのをご実感されていることでしょう。
私どもの医療機関にもまだ私も目に触れたことがない治療を大都市の医療機関で受けたこられたという方がお見えになっています。
一般の方々に医学的知識が増加しているというのは間違いありません。

患者さんやご家族様にとって良いだろうと医師が判断するものを選び提供する時代や場面というのがあるでしょうし、
患者さんやご家族様が依頼される医療を提供する場面や時代が来るかもしれません。サービス提供者と依頼者という関係でしょうか。
つまり、場面場面や時代によって、患者と医師との関係は多面化しているのです。

経済的・物理的に医療を受けられない、または、治療方法が少ない、または、良い治療方法が1つに定まっている、という頃には、その数少ない治療を受けるか、受けないか、という二者択一に迫られます。

他方で、治療方法が多種多様で、しかし、良い治療方法が必ずしも1つに定まっていない、という場合には、どうでしょうか?
医学的知識が増加したとはいえ、さすがに何をどう選んだらよいか途方に暮れる、ということがありそうです。

社会も多様化し、スマートフォンやインターネットで別々の時代のものを別々の時間で見たりという場合には、考え方や大事にしている価値観も多様化しているといえるでしょう。

このような中、私たち医療従事者が、皆さんが何らかの危機や困難に陥ったとき、どのようにしてその危機や困難に対して、医師-患者関係を構築し、治療をご提案しているのか、簡単でない、というのは間違いありませんね。

治療方法の種類について、そのメリットとデメリットを共有します。おそらくこれは「インフォームドコンセント(Informed Consent)」においても必ず行われます。

治療方法の種類の数だけ、それを“選んだ後の結果”を、“選ぶ前に‘前もって’シミュレーション”し、その結果が良い場合と、悪かった場合に起こりうることを実体験してもらいます。これは通常のインフォームドコンセントでは行われません。『Shared Decision Making(シェアード・ディシジョン・メイキング)』を行う際にほぼ必要な予測的ガイダンス(anticipatory guidance)というものです。

そして、これまでの患者さんが描いてきた人生の軌跡や将来構想などの話と共に、シミュレーションしたものをそれぞれ当てはめていくことなどもします。
えっ?どうしてそんなことやるんですかって?
だって、前もってであっても、悪い結果をあてはめるときはもちろん誰でも悲しいですよね。これまでの人生の軌跡や将来構想などの話を伺うだけでなく、患者さんご自身にこれまでの人生の悲しかったことなどをどのように乗り越えてきたか伺い、また本人にお話しいただき追体験いただくことで、今後起きうる悲しみにたいしてもどのように向き合っていけばよいかを事前にシミュレーションすることができると思いませんか?
実際にそうすることで悲しみの結果があった場合でもシミュレートしない場合より悲しみの強さが減弱するようです。

治療方法を選択しその結果の良い場合も悪い場合も事前に予測するというプロセスを経ることで、その後の将来にどのようなことが起こりうるか現実的なシミュレーションと、時間をかけて心の準備をすることで、今後困難が訪れたとしてもうまく乗り切る助けとなる、このような考えから、『Shared Decision Making(シェアード・ディシジョン・メイキング)』が発達してきました。

初めてShared Decision Making(シェアード・ディシジョン・メイキング)が登場したのは1992年のようで、まだまだ30年の歴史の浅い手法ですが、私たち医療従事者が皆さんと一緒に共有していきたいのは、喜びも悲しみもです。そして、その責任の重さもともに負いたいと思っています。